高齢のおひとりさま必見！飼い主の死後に残されるペットのために出来ること

ペットは家族同然の宝物。独身や単身者の方ほど、愛犬や愛猫などのペットに癒されている飼い主さんは多いと思います。

しかし、「自分に万一のことがあったらどうしよう」「自分の死後、ペットはどうなるの？」と、不安になることもあるでしょう。

動物愛護の精神に背いていると分かっていても、できれば手放すことなく、自分に添い遂げてほしいと願うのが本音ではないでしょうか。

大切なのは、飼い主さんにもしものことがあったときの備えです。死後もペットが不自由なく幸せに生きてゆければ、何も心配する必要はありません。

そこで、ペットのために、おひとりさまの飼い主が知っておくべきことや、自分の死後に備える方法についてご紹介します。

2023年の発表によると、ペットの犬猫における平均寿命と、年代別の飼育状況は以下のとおりでした。

出典：2022年（令和4年）全国犬猫飼育実態調査（一般社団法人ペットフード協会）

2022年11月に発表された調査結果によると、孤独死の平均年齢は61〜62歳。50〜70代の孤独死が全体の約68%を占めていることが判明しました。

出典：第7回孤独死現状レポート（日本少額短期保険協会）

犬猫などのペットは、食事を与えずに水も飲めないと、数日のうちに餓死して死亡してしまいます。

一人暮らしのおひとりさまは、大事なペットのためにも、孤独死への対策が必要といえるでしょう。

犬猫以外のペットの寿命は、次のとおりです。

出典：ペットを飼う前に（環境省）

• ハムスター：2～3年程度
• ウサギ：5～15年程度
• セキセイインコ：7～10年程度
• ミドリガメ：20年程度
• オカメインコ：15～25年程度
• リクガメ：100年以上生きることもある

動物愛護の観点から飼い主としての責任にあたるため、ペットの寿命は必ず調べて把握しておきましょう。

飼い主の死後、ペットの行方が気になる方は多いと思いますが、基本的に次の2つの条件によって異なります。

• 相続人がいるかいないか
• 友人・知人などが希望するかどうか

なお、相続できる対象は「人間のみ」と限られているため、ペットに対して直接相続をして財産を残すことはできませんので、ご注意ください。

ペットは法律上、飼い主の所有物として扱われ、家族などの血縁者や遺言書で指名した相続人がいる場合、飼い主の死後は資産として相続対象になります。

しかし、一般的には財産価値がなく、血統書付きの子犬・子猫や売買価値のある人気のあるペットに限り、相続税の対象になります。

というのも、「この法律において「物」とは、有体物をいう」（民法 第85条）と、不動産ではないペットは「動産」として解釈されているからです。

しかも、相続人がいるからといって決して安心できないのがペットの相続における特性のためご注意ください。

たとえば、相続人に問題がなくても、ペットへの嗜好性は人それぞれのため、その家族や同居人に動物が苦手な人や、動物アレルギーがある人がいるかもしれません。

また、犬や猫には吠えたり爪を研いだりする習性があるため、しつけやお散歩など、愛情をもってお世話がこなせるかどうかも大事な課題です。

飼い主さんの死後、家族や親族がおらず相続人がいない場合でも、友人・知人などが速やかに対処すれば、ペットを引き取ってもらうことは可能です。

しかし、生前に約束している場合でも、実際に引き取ってもらえるかどうかは分かりません。

誰がどのように死亡を把握して、ご遺体やペットの措置をするのかという、根本的な問題があることを理解しましょう。

さらに、ペットが懐かない、医療費や食費の負担が大きいといった理由から、飼育放棄されてしまう可能性がないかどうかも考える必要があります。

たとえば、高齢の方が同世代の年金暮らしの方へペットの面倒を頼むのは、現実的な解決方法とはいえません。

死後も周囲へ迷惑をかけず、ペットが幸せでいられるよう、飼い主としての責任を果たす必要があります。

おひとりさま相応や、おひとりさま候補に該当する方など、自分の死後、ペットが心配な方もいらっしゃるでしょう。

家族や親族がいても疎遠になっている方や、子どものいない夫婦、同居人がいてもペットのお世話を託せない場合などです。

もし動物愛護センターや保健所に連れて行かれると、殺処分される可能性もあり、ペットの命を守れる保証はありません。

ペットとの出会いは一期一会。いかなる事情があっても、最後まで責任をもって、不自由のない生涯が送れるようにしましょう。

飼い主の死後もペットが安全・安心して暮らしてゆけるようにするには、次の4つの方法があります。

• 引き取り手・里親を探しておく
• ペット信託を利用する
• 老犬老猫ホームやNPO法人に引き取ってもらう
• 遺言書に希望する対応を記載する

自分の死後に備えて、生前の元気なうちにペットの最適な引き取り手となる里親を探しておくことが大切です。

まずは、身内や友人・知人などの周囲の人に、ペットの飼育に適した人がいるかどうかを確認してみましょう。

信頼のできる人へペットの情報や条件を伝えて、里親探しに協力してもらうのも一つの方法です。

一方で、ペットによっては慣れた環境で愛情を注いでもらった方が良く、近所で貰い手を探した方が安心できる可能性もあります。

その場合は、行きつけの動物病院やペットサロンへ相談したり、ドッグランの常連さんやお散歩で一緒になる人へ声をかけてみるのも良いでしょう。

ペットの飼育には費用負担がつきものなため、最適な里親候補がいる場合、財産を遺贈する次の2つの手続き方法で、リスクを軽減してあげることができます。

• 負担付遺贈
• 負担付死因贈与契約

なお、遺贈とは相続人以外の人へ財産を譲る相続方法のため、もし相続人がいる場合には事前に周知して、相続人同士のトラブルを回避しておくようにしましょう。

負担付き遺贈とは、特定の人へ財産の相続と、ペットのお世話をする義務の負担を一緒に譲渡する手続き方法です。

2023年に発表された1年間でペットの飼育にかかる費用は、犬は約36万円、猫は約16万円という結果でした。

出典：2022最新版ペットにかける年間支出調査（アニコム損保）

ペットはケガや病気による治療費や餌代、トリミング代、光熱費などのお金がかかるため、費用負担がネックな人へは飼育条件を理由に財産を相続することができます。

負担付き死因贈与契約とは、新しい飼い主との間で結ぶ合意契約で、負担付遺贈が飼い主側からの一方的な意思なのに対して、双方の意思により成立する契約です。

公正証書を作成する手続き方法によって、法律に則った契約として守られるため、ペットのお世話を託せます。

また、負担付き遺贈は遺言書に基づき、死亡によって効力が生じる一方、負担付死因贈与契約では契約に定めることで、存命中からペットを委ねることが可能です。

近年はペット信託が誕生し、NPO法人などの動物の愛護団体へ、事前に必要な経費を信託することで、自分に万一のことがあった際、ペットを託せるようになりました。

• ラブポチ信託
• ペット後見互助会とものわ
• ファミリーアニマル支援協会のペット信託

そのほかにも、死後もペットの生活が保証される信託サービスは銀行などでも提供されています。

• ペット安心特約付遺言信託（三井住友信託銀行）

老犬や老猫は引き取り手を探すことが難しい一方、飼育ができなくなった人たちのペットを専門的に引き取ったり、入院中などに預ける施設もあります。

老犬老猫ホームなら、都心でも不自由なくペットが生活できる環境の整った施設があるため、最寄りで探してみるのも良いでしょう。

• 東京ペットホーム（東京都大田区）
• THE ケネルズ東京（東京都目黒区）
• あにまるケアハウス（埼玉県加須市）
• オレンジライフ湘南（神奈川県平塚市）
• わんにゃんハウス・オレンジ（千葉県千葉市）

また、次のようなNPO法人へ引き取ってもらい、里親を探してもらうことも可能です。

• SPA
• 東京キャットガーディアン

なお、愛犬や愛猫を引き取ってもらうには料金が必要となり、小型犬や猫なら1頭につき2〜30万円程度、大型犬になると30万円以上の費用が必要な場合もあります。

施設やペットの状況によっては、100万円以上必要になるケースもありますが、大切なペットの命が保証されると思えば、決して高額とはいえません。

自分の死後のペットに関する希望は、遺言書へ残しておくことで実現することが可能です。

ただし、ただ遺言書へ書き残すだけでは、本当にお世話が実行されるかどうか保証がないため、遺言執行者を選任して、監督をしてもらう必要があります。

出典：遺言執行者の選任（裁判所）

なお、遺言書を作成するには規定があり、書類や書き方においては専門知識が必要です。

出典：遺言書の様式等についての注意事項

高齢者の人が遺言書を作成するのはとてもたいへんな作業なため、弁護士・司法書士などの専門家へ依頼するのがスムーズといえるでしょう。

自分の死後に残されるペットを危惧して、気をつけなければならない2つのポイントがあるため、注意事項として必ず厳守してください。

• ペットを自然に還してしまう
• 里親詐欺に注意

ペットがもともと保護犬や保護猫などの場合、自分が飼育できないなら、いっそのこと自然環境へ還した方が幸せだろうと思う方はご注意ください。

ペットを捨てると動物の愛護及び管理に関する法律違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるため注意が必要です。

出典：動物愛護管理法（環境省）

また、犬猫などの動物をみだりに殺したり傷つけると5年以下の懲役または500万円以下の罰金、虐待すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

たとえ入院などの事情があっても、餌をあげないような飼育放棄がないよう、ペットホテルや知人へ預けるような対応を心がけましょう。

個人で里親探しをする際は、詐欺や動物虐待を目的とした悪質な利用者へご注意ください。

身近で探すのが難しい場合、次のようなインターネットによる里親探しのサイトを利用する方法もあります。

• ペットのおうち
• hugU（ハグー）
• ジモティー 里親募集

手軽で便利ではありますが、たとえトラブルが起こってもサイトの運営業者へは責任追及できません。利用者にはさまざまな人がいることを知っておきましょう。

なお、ペットを購入や迎え入れる側の立場では、健康状態が告知されていないなどの相談が多く寄せられている傾向にあります。

出典：ペット（国民生活センター）

大切なペットのことで揉め事にならないよう、里親募集をする際は、あらかじめ健康状態や気になる点を包み隠さずに発信して、トラブルを回避しましょう。

頼れる人がいないおひとりさまのペットの飼い主が生前にやるべき準備の方法についてご紹介しましたが、まとめると次のとおりです。

• 犬猫の平均寿命は約15歳、人間が健康でいられる健康寿命は男性72.68歳・女性75.38歳のため、60代から犬猫を飼育するのはペットにとってリスクが高い。
• おひとりさまは50〜70代の孤独死が多いため、ペットを飼育している独身や単身者は50代から注意しなければならない。
• 飼い主の死後もペットの安全・安心を守るうえでは、生前のうちにペットの引き取り手や里親を探しておく必要がある。
• ペットの世話をしてもらう人へは費用負担として財産を相続する「負担付き遺贈」「負担付き死因贈与契約」という手続きがあるほか、個人ではなく団体と契約する「ペット信託」という方法もある。
• 引き取り手を探しにくい犬猫は、老犬ホームや老猫ホームなどの利用を検討し、動物の愛護及び管理に関する法律違反にならないよう、ペットは自然に還さない。
• 身近に引き取り手がいない場合、里親を探しをするにはNPO法人へ依頼するほか個人でも可能だが、里親詐欺などのトラブルに注意する。

さまざまな選択肢があるとはいえ、失敗や悔いのないよう、大切なペットの行方には迷いが生じやすいものです。

お悩みの際は、最寄りの終活サービスを提供している会社へ相談し、同じような立場の飼い主さんがどのように対処しているのか尋ねてみると良いでしょう。

ペットへの対応はもちろん、孤独死対策などのおひとりさまを支援するサービスを併用して活用すれば、費用メリットも得られるため、まずは無料相談を利用するのがおすすめです。