【初心者向け】老人ホーム入居には保証人が必要？いない場合の対応方法まで解説

多くの場合、老人ホームの入居には保証人が必要になります。保証人のいない入居者を受け入れることで、老人ホーム側が多大なリスクを背負うことになってしまうからです。

ただ、様々な事情から「どうしても保証人をたてられない」「自分が保証人になるのは避けたい」といったケースもあるでしょう。

そこで本記事では、老人ホームへの入居に際して保証人の検討をしている人に向けて、保証人の役割や条件、保証人がいない場合の対応策についてお伝えします。

また、老人ホーム入居時の保証人にまつわるトラブル事例や保証会社選びで失敗しない方法についても解説していますので、ぜひ保証人の検討にお役立ていただけますと幸いです。

ほとんどの場合、老人ホームの入居には保証人が必要になります。なぜなら保証人がいない入居者を抱えることは、老人ホーム側にとって大きなリスクとなるからです。

具体的に、老人ホームでは次のようなトラブルが発生するリスクがあります。

• 入居者が認知症などにより金銭管理ができなくなる
• 入居者の病気が悪化して自分で意思表示できなくなる
• 入居者同士でトラブルが起こる
• 入居者が施設内の設備を壊してしまう
• 入居者が亡くなってしまう　など

上記はあくまでも一例ですが、老人ホームでは様々なトラブルが起こる可能性があります。保証人がいない入居者を引き受けてしまうと、これらのリスクを老人ホーム側が全て背負わなければいけなくなってしまいます。

こういった理由から、多くの老人ホームで「保証人が必要」となっているのです。

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特別養護老人ホームなどの公的な老人ホームの中には、保証人がいなくても入居できる場合があります。

ただし、特別養護老人ホームの入居には、次のいずれかに当てはまることが条件なので注意が必要です。

• 要介護3以上である
  • 要介護3：身の回りのことが介護なしではできない状態
• 特例により入居が認められた要介護1~2である
  • 要介護1：食事や排せつなど身の回りのことはこなせるが部分的な介護が必要
  • 要介護2：生活で出来ないことが増え、食事や排泄など身の回りのことの介護が必要

介護福祉施設(参考資料) | 厚生労働省

特別養護老人ホームは入居希望者が多いため、入居できるまでに長期間待機しなければいけない場合もあります。上記に当てはまる場合は、出来る限り早めに申請を開始しましょう。

それでは、老人ホームの保証人になった人にはどのような役割があるのでしょうか？

老人ホームにおける保証人の役割は主に以下の５つです。

1. 本人の代わりに意思決定をする
2. 各種手続きを代わりに行う
3. 緊急時の連絡窓口になる
4. 金銭面での保証責任を負う
5. 死亡時・退去時の身柄を引き取る

以下、それぞれの項目について詳しく解説していきます。

入居者本人の判断能力が低下していたり、意思表示が困難な場合には保証人が代わりに意思決定をします。

ケガや病気などによって治療や入院が必要になった場合、原則的には本人が判断して手続きをします。

しかし、認知症や体調の急変などの理由から入居者本人ではそれが困難になった場合、保証人がいないとすみやかに入院や手術を行うことができません。

保証人は老人ホームの入居者に代わって各種手続きを行います。

老人ホーム側は入退院の手続きや支払いに介入できないので、保証人が代わりに行います。

もちろん、入居者本人が対応できる状況であれば保証人が代行する必要はありませんが、主に次のような場合に代行手続きが発生することが多いです。

• 入居者本人の判断力・意思表示能力がない時の入院・治療・退院時
• 健康保険や年金などの行政機関への手続き時

保証人は、入居者の体調の急変・病気・ケガ・トラブル発生などの場合、緊急時の連絡窓口となります。

応急処置や救急搬送、病院の受診などは老人ホームの職員が対応する場合が多いですが、老人ホームから連絡があった場合はすぐに駆けつけて対応しなければなりません。

入居者の容態によっては、日中や真夜中に限らず急に電話がかかってくることもあります。

保証人は、老人ホーム入居期間中に発生する費用を保証する役割を担っています。

入居者が老人ホームの利用料を支払えなくなった際は、保証人が本人に代わって支払い責任を負うことになります。また、本人所有の資産から利用料を支払う事になるケースもあり、その際の手続きも代わりに行います。

老人ホームの利用料以外にも「施設の設備を壊してしまった」「他の入居者にけがをさせてしまった」などトラブル時の金銭的な保証を負担する事になる可能性もあります。

保証人は、入居者本人が亡くなった際の身柄を引き取る役割もあります。

未払い分の費用の支払いや、入居していた部屋の片付けについても引き受けることになります。

しばしば混同されることが多いですが、支払い債務保証・身元保証をするのが「保証人」であるのに対し、万が一入居者が亡くなった場合にその後の対応を引き受けるのが「身元引受人」です。

保証人は入居から退去までの保証を請け負いますが、身元引受人は主に死亡時や退去時の対応を請け負うという違いがあります。

さらに保証人の役割は以下に二分されます。

• 身元保証
• 連帯保証

具体的には、治療方針を判断するときの身元保証、老人ホームへの金銭的な支払いを保証する連帯保証という２つの役割です。

ただし、施設によっては、身元保証・連帯保証・身元引受の全てを担う者として「保証人」「身元引受人」と呼んでいる場合もあるので、言葉の意味するところは各施設にしっかりと確認しておいた方が良いでしょう。

また、基本的に保証人は1人で良い場合が多いですが、保証人と身元引受人を分けている施設では、それぞれ一人ずつ必要になるケースもあります。

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老人ホームの入居時に必要な保証人の条件は「責任を負うことが出来る人かどうか」です。一般的には親族を保証人にすることが多いですが、施設によっては条件を満たせば友人や知人を保証人にできる施設もあります。

ただ、具体的に年齢や年収、資産状況などの条件が定められている訳ではないので、老人ホームによって事情は異なります。

一般的には、以下のポイントをふまえて「責任を負うことが出来る人かどうか」の判断基準とされることが多いです。

• 保証人に一定の収入がある
• 保証人が親族である
• 保証人が高齢すぎない

一定の収入があるかどうかは、保証人の必須条件と言えます。

なぜなら、老人ホームにいる間に発生する費用を代わりに負担する「連帯保証」は、保証人の重要な役割だからです。

明確な年収の条件はありませんが、連帯保証の能力があるかどうかを証明する書類の提出を求められることが多いです。

原則、親族が望ましいとされている場合が多いです。

親族以外の知人や友人でも保証人にできる施設もありますが、金銭の扱いや治療に関する意思決定などの重要な役割を担うため、親族の方がより適任であると判断されるためです。

老人ホーム入居後であっても保証人を変更することができます。

保証人は老人ホームを利用する上でとても重要な役割を担っています。入居後に何らかの事情で保証人の役割を果たすことができなくなった場合には、すみやかに老人ホーム側に伝えましょう。

新しい保証人をたてる際は、必要書類を提出し改めて契約を結ぶことになります。

老人ホーム入居時に保証人になれる人がいない、もしくは保証人になりたくないという場合には次の2つの対応策があります。

1. 保証人が求められない施設を選ぶ
2. 保証会社に依頼する

保証人がいない場合の対応策として、保証会社を利用するという方法もあります。

保証会社とは？
保証人としての役割を代行するサービスを運営する民間企業やNPO法人のことです。保証会社は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家と連携し、保証人がいない人の身元保証や連帯保証を引き受けてくれます。

具体的なサービス内容は保証会社によって異なるため、自分の希望に合う保証会社を慎重に選ぶ必要があります。

例として、保証会社の主なサービス内容には次のようなものがあります。

• 生活のサポート
• 財産の管理
• 身元保証・身元引受人
• 連帯保証
• 死亡時のサポート

老人ホームへの入居時に保証人がいない場合には、保証会社を利用するのがおすすめです。保証会社を利用することで、老人ホーム入居に必要な「保証人」「身元引受人」の役割を一通りカバーしてもらえるからです。

ただし、保証会社であっても提供しているサービス内容や範囲に違いがあるため、自分の希望に適した保証会社かどうかはしっかり確認する必要があります。

なお、保証会社探しが難しい場合には、各都道府県の地域包括支援センターへ相談することができます。地域包括支援センターでは、保証会社の紹介や成年後見人制度を利用するサポートを受けられます。

お近くの地域包括支援センターに関する情報は、厚生労働省の公式ホームページから確認できます。

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前章では、保証人がいない場合の対応策として、保証会社を利用するという選択肢をご紹介しました。

しかし、保証会社を利用した際にトラブルが発生してしまうこともあります。「保証会社が倒産してサービスが受けられない」「解約したのに払ったお金が返ってこない」など、重大なトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

保証会社の利用をめぐるトラブルでよくあるケースは次の通りです。

• 契約内容がよく分からず高額なので解約したい
• 事業者に勧められるままにサービスを追加して思ったより高額な契約になった
• 契約するつもりのなかったサービスも含まれていた
• 約束されたサービスが提供されないので事業者に解約を申し出たところ、説明のないまま精算された

実際に、以下のような相談が国民生活センターに寄せられています。

預託金を支払うように言われているが、詳細な説明がない

頼れる親族がいない中、身元保証サービスや亡くなった後の事務手続等を代行する事業者とサポート契約をしたら、預託金を支払うように求められた。契約内容などの詳細について理解できていなかったこともあり、更なる高額な預託金の支払いを躊躇（ちゅうちょ）していたところ、担当者から「明日どうなるか分からない。一刻も早く預託金を支払うように」と急がされた。詳細な説明もない中で、このような事業者の対応に困惑しているが、どうしたらよいか。

（60歳代　女性）

独立行政法人国民生活センター「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意を」

この相談に対して国民生活センターが掲載している「消費者へのアドバイス」は、以下の通りです。

• 自分の希望をしっかりと伝え、サービス内容や料金等をよく確認しましょう
• 預託金等の用途や解約時の返金に関する条件について予め確認しておきましょう
• 契約内容を周囲の人にも理解してもらうよう心がけましょう
• 契約や解約に際しトラブルになった場合にはすぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

保証会社は便利である反面、トラブルが起こるリスクもあります。

ですが、起こりうるトラブルと対策方法を事前に把握しておくことで、十分にリスクを回避することは可能なのです。したがって、過度に心配する必要は無いでしょう。

老人ホーム入居時の保証会社を選ぶ際は、次の５つのポイントを押さえましょう。

1. 複数社でしっかり比較する
2. 受けられるサービス内容を確認する
3. 利用にかかる費用は妥当か確認する
4. 保証会社の倒産リスクを確認する
5. 生活保護受給者でも利用可能か確認する（※生活保護受給者のみ）

保証会社によって料金やサービス内容にはばらつきがあります。

業者に提案されるがままに契約してしまうと「不要なサービスまで契約していた」「希望のサービスが受けられない」など、後から後悔することになり兼ねません。そうならないためにも、本章でご紹介する5つのポイントは最低限押さえておきましょう。

それでは、5つのポイントそれぞれについて順に詳しく解説していきます。

保証会社を選ぶ際には、必ず複数社に相談して比較検討しましょう。

保証会社によって、サービス内容や費用は異なります。広告で見た保証会社だけに相談してそのまま契約してしまうと、後から「こっちの保証会社の方が安くてサービス内容も良かった」と後悔することになるリスクが高いからです。

さらに、保証会社とは、契約してから入居者の死亡後までの長い期間付き合っていくものです。定期的にコミュニケーションを取っていく相手として相性が良いかどうかもしっかり比較して見極めておくことが重要になります。

保証会社が提供しているサービスが、自分の希望に適しているかどうかをしっかりと確認しましょう。

主に以下のサービスが含まれる場合が多いですが、細かいサポート内容や保証内容、条件などは保証会社によって変わります。

• 生活のサポート
• 財産の管理
• 身元保証・身元引受人
• 連帯保証
• 死亡時のサポート

まずは、必要なサポートと不要なサポートを洗い出して精査しておきましょう。事前に準備してから保証会社に相談することで、主導権をもってスムーズに契約を進められます。

保証会社が提示する費用が妥当なものかどうかをしっかり確認しましょう。

保証会社によって提供するサービスに違いがありますし、どこまでサポートしてもらうかによっても変動しますが、サポート内容次第では数百万円かかる可能性もあります。

基本的に、保証会社の利用には「初期費用」と「月額利用料」が発生するケースが多いです。

支払い可能な金額かどうかも含めて、自身の状況に合った費用プランかどうかを検討しましょう。

契約する保証会社が倒産してしまわないか、出来る限り事前に確認しておきましょう。

保証会社の倒産リスクを回避するためには、当然ですが最初の保証会社選びがとても重要になります。

保証会社は株式上場していない会社が多いので、調査するのが難しいのも事実ですが、担当者に前年度の売上など、健全な経営状態にあるかを判断できる資料の提示を依頼するのもよいでしょう。

生活保護を受給中の場合には、その保証会社が「生活保護受給者は利用不可」となっていないかを確認しましょう。

保証会社によっては、生活保護受給者だと審査に通らない場合があります。また、生活保護受給者の場合は連帯保証人を付けることなどが条件だったり、生活保護受給の根拠である書類の提出を求められることがあります。

審査基準は保証会社によって異なるので、早い段階で生活保護受給者であることをしっかり担当者に伝えるようにしましょう。

老人ホームへの入居において、保証人は非常に重要な存在です。老人ホームへの入居から退去までの期間には、様々な手続きや費用、トラブルが発生する可能性が高いからです。

保証人がいなくてお困りの場合には、お近くの地域包括支援センターもしくは身元保証サービスを提供している会社へ相談してみましょう！

改めて本記事の内容を要約すると以下の通りです。

• 老人ホームの入居にはほとんどの場合で保証人が必要
• 保証人には入居者本人に代わって「意思決定」「手続き」「緊急連絡先」「金銭面の保証」「死後の対応」を行う役割がある
• 保証人は原則的に親族が務めることが望ましいが、「責任を負うことができる人」であれば友人や知人でも認められる場合がある
• 保証人をたてられない場合には「保証会社」を利用する方法がある
• 複数社の保証会社に相談してサービス内容・費用の妥当性をしっかりと確認することでトラブルに遭うリスクの軽減につながる