看取りケアプランの内容例やポイントを解説！

人生の最期を迎えるための看取りケアでは、ご本人はもちろん、ご家族のためのサポートも欠かせません。

そもそも、看取りケアとはどのようなことなのか、ターミナルケアや緩和ケアとの違いが気になる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、介護保険の適用で必要になる看取りケアプランについて、具体的な内容例をポイントを抑えてご紹介します。

看取りケアの現状と動向についても詳しく解説しますので、ご家族やケアマネージャーなど、終末期の介護に必要な基本知識としてお役立てください。

看取りケアとは、看取り介護とも呼ばれ、死期が迫っている人を対象に、食事や入浴や排泄といった日常生活の介護・介助の支援を行うことをいいます。

そもそも看取りとは、人生最期の臨終に立ち会うことをいい、かつては看護師や家族が看護や介護の一貫として身の回りのお世話をすることが一般的でした。

しかし、核家族化や夫婦共働きなど、時代の変化に伴い、現在は医療機関や介護施設のほか、在宅における看取りケアのサービスが確立されつつあります。

さらに、近年では、次のような民間団体による資格制度も誕生しており、一般の人が看取りについて学ぶ機会も設けられています。

看取りケアには医療行為が含まれないため、介護施設や自宅で行われることも多く、家族は介護を委ねることで負担を軽減できることが最大のメリットです。

一方で、ターミナルケアや緩和ケアは、ホスピスや病院をはじめ、医療機関と連携して運営している介護施設や、医師の指示に基づいた訪問看護によって行われます。

介護保険を利用する際は、ケアマネージャーや地域包括支援センターの担当者などを筆頭に、ケアプラン（介護サービス計画書）を作成しなければなりません。

そこで、次の5つの看取りケアプランについて、内容例をご紹介しますので、どうぞ参考になさってください。

• 本人の意向に沿った食事（栄養と水分の摂取）の介助
• 人間らしく快適に過ごせる清潔な環境の保持
• 排泄ケア
• 苦痛の緩和
• 家族へのサポート・グリーフケア

ケアマネージャーにとって、看取りケアで重視するべきことは、次の2点です。ご家族としてもケアマネージャーを頼って、連携を取ることを心がけましょう。

• ご本人の意向を大切にする
• ご家族へのサポートやケアも忘れない

看取りにあたっては、最期はどこで、どのように過ごしたいのか、利用者ご本人の意向を確認して実現することが大切です。

2023年の調査結果によると、人生の最終段階における医療・ケアについて考えたことがあるのは、一般国民のうち51.9％となっています。

出典：令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について（厚生労働省）

一方で、2022年の調査結果によると、次のように「家族へ迷惑がかからなければ最期は自宅で迎えたい」と望む傾向にあることが判明しました。

出典：令和4年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について（厚生労働省）

病状によっても希望する最期の在り方が異なるように、人生の最期を看取る際の容態は三者三様なため、臨機応変な多様性が求められているといえるでしょう。

看取りケアでは、ご家族の身体的・精神的なサポートやケアも重視して、積極的に支援することを心がけましょう。

最近は本人の希望を家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する「人生会議」の啓蒙活動が行われています。

出典：「人生会議」してみませんか（厚生労働省）

ケアマネージャーがご本人の意向をご家族や医師・看護師と共有する架け橋となるように努めることができれば、スムーズな看取りとトラブル防止に繋がります。

また、介護に必要なチームプレーでは、意志疎通をしっかりと図れるよう、「5W1H」を心がけた記録と、説明・報告を遵守しましょう。

• When（いつ）
• Where（どこで）
• Who（だれが）
• What（なにを）
• Why（なぜ）
• How（どのように）

なお、マニュアルどおりの対応や対処も大事ですが、大切なのは何よりもご本人や介護・介助に携わる周囲の人たちに対する思いやりの気持ちとチームプレーです。

時には、ご家族の介護疲れを癒せるように、ご家族の息抜きの時間を作ってあげるなどの工夫も検討すると、喜ばれるでしょう。

ご家族の立場でも、医師やケアマネージャーや介護スタッフへ、労いの言葉やお礼の言葉を忘れないように心がけてください。

日本では近い将来、看取りケアのニーズが高まることが推測されています。

2022年の死亡者数は156万8,961人と、戦後の統計以降、過去最多を記録していますが、今後はさらに死亡者数が増える見込みです。

出典：令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数）の概況 （厚生労働省）

死亡数が増加して人口減少が加速することを「多死社会」といい、2040年問題として、少子化による急速な人口減少と高齢者人口がピークに達する危機にあります。

特に、医療や介護の分野では問題要素が多く、まさに近年のコロナ禍で体験したように、人材不足や病床率などが課題になることが想定されるでしょう。

実際、1950年頃は自宅で亡くなる人が8割を占めていましたが、50年後の2000年には1割近くまで減少し、以降は病院や介護施設での死亡が8割を推移しています。

出典：人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 死亡（e-stat 政府統計）

一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2020年以降は自宅で死を迎える人が増加傾向にあり、2022年時点では17.4%にまで上昇しました。

利用者の意向をきちんと確認できれば、自宅での看取りの需要も加速する可能性が大いにあるといえるでしょう。

看取りケアで知っておくべき大事なポイントについてまとめると、次のとおりです。

• 看取りケアの特徴は、医療行為を伴わずに無資格でも学ぶことができる介護・介助にある。
• 人としての尊厳を重視し、本人の意向に沿った場所で、理想の最期を迎えられるような看取りケアプランを考案する。
• 介護・介助にあたっては、医師・看護師や、家族との間で、臨機応変な多様性のある対応力が求められる。
• 看取りケアでは、ご家族へのサポートや死後のグリーフケアまで対応するように心がける。

介護ではチームプレーを重視することが求められますが、人生の最期をサポートし、家族とのお別れの場に立ち会うには、より一層の対応力が必要です。

そのためには、コミュニケーションを図ることを大切に、風通しのよい人間関係づくりを意識しましょう。